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持続化給付金9.6億円詐欺|同一グループでは最大規模の詐欺集団

持続化給付金9.6億円詐欺/谷口光弘トンデモ事件

持続化給付金9.6億円詐欺の概要

コロナ給付金詐欺の摘発が相次ぐ中、同一グループでは最大規模となる約9億6000万円を詐取した谷口光弘(47歳)。彼は家族に手伝わせ、規模が大きくなると協力者を増やし15グループ40人以上で詐欺を行っていた。
東京や三重県でセミナーを開催して給付金申請者を募り、1800件にものぼる虚偽の申請を代行。最大数十万円を手数料として受け取っていた。
元妻、長男、次男の3人は5月30日に逮捕。インドネシアに海外逃亡していた光弘も6月7日、現地警察に身柄を確保された。(インドネシアでの逮捕容疑は不法滞在)

事件データ

主犯谷口光弘(逮捕時47歳)
共犯1谷口梨恵(逮捕時45歳):妻
共犯2谷口大祈(逮捕時22歳):長男
共犯3次男(逮捕時21歳)
犯行種別(持続化給付金)詐欺事件
被害額9億6千万円
犯行時期2020年6月~8月

「持続化給付金9.6億円詐欺」の詳細

2020年、日本でも新型コロナウイルス感染症が広まり、社会活動は自粛を余儀なくされ、国民の生活にも支障が出始めた。そんな中、国は持続化給付金の支給を決定、営業のできない事業者に対し法人は最大200万円、個人事業者は最大100万円を補助することになった。

この制度は必要な人に一刻も早く給付金を届けるため、手続きは簡略化された。国は不正受給には厳正に対処するとしていたが、やはり悪用していた者が多数検挙される事態となった。

その中でも、ひときわ悪質なのが本事件である。

持続化給付金9.6億円詐欺/谷口光弘
給付金9.6億円詐欺の首謀者・谷口光弘

谷口光弘は家族に手伝わせ、1800件にのぼる不正な申請をし、計約9億6千万円分を国から騙し取った。これは、ひとつのグループによる不正受給額としては過去最大規模である。

主な手口は次の通りである。

まず自らが経営する東京都港区の会社でセミナーを開催して申請者を集める。講師として登場する光弘が違法であることは伏せ、「国の制度には抜け穴がある。名前と簡単な書類があれば、すぐに金が下りる」と説明。いかにも「法の抜け穴を知っている者だけが得をする方法」のように思わせた。

セミナーを開くにあたっては、逮捕された息子2人を東京に呼び寄せ、元妻には残りの子供ら4人と三重県津市でパソコン作業に当たらせていた。

そして申請する気になった人の手続きを代行、個人事業主で限度額となる100万円を得るため、大半の申請では前年の収入を100万~120万円ほどとし、2020年4月の収入を0円と偽装。15~40万円を手数料として受け取っていた。

持続化給付金9.6億円詐欺/谷口光弘

光弘は、”頼めば誰でもコロナ給付金がもらえる” 優秀な税理士といわれていた。手数料として30%をその税理士(光弘)、10%を紹介者に渡せば、残りのお金は申請者に「濡れ手で粟」状態で手に入る。
しかし、中には「谷口光弘」という税理士が存在しないことを突き止め、手続きを止めた人もいた。

谷口一家4人が逮捕

持続化給付金9.6億円詐欺/谷口梨恵・谷口大祈
逮捕された元妻・谷口梨恵と長男・谷口大祈

家族の役割はリーダーが光弘で、彼の指示で次男(当時19歳)が名義人に代わって作成したウソの確定申告書を税務署に提出、申告書の控えを入手し、元妻・谷口梨恵(当時43歳)と長男・谷口大祈(だいき)(当時20歳)が申請手続きをしていた。次男は勧誘役でもあり、知人・友人に合法であると虚偽の説明のうえで名義貸しを依頼していた。

申請の場所は全国36都道府県におよび、谷口一家だけでは捌き切れなくなり、一家の協力者は十数人の中心メンバーをはじめ、15グループ40人以上になっていた。そして虚偽申請は、多い日で60件を超えていた。

事件が発覚したのは2020年8月頃、不審に思った持続化給付金事務局から警視庁に相談があったことがきっかけ。虚偽申請したうち約9億6千万円は実際に支払われたが、残りは支給されなかった。(光弘がインドネシアに逃亡したのは、その2カ月後)

警視庁は2022年5月30日、この詐欺容疑について谷口光弘の元妻で三重県津市の会社役員・谷口梨恵(45)と、同県川越町の長男・谷口大祈(22)、犯行当時19歳だった次男(21)の3人を逮捕した。
この時の逮捕容疑は、2020年の6~8月、兵庫県や東京都などの20~50代の男女3人の依頼を受け、「コロナ禍で売り上げが減ったという虚偽」の申請をし、持続化給付金300万円を国から騙し取った疑い。

持続化給付金9.6億円詐欺/谷口光弘の逃亡先

主犯である光弘はといえば、捜査の手が迫ってきたのを察した2020年10月、もともと土地勘のあったインドネシアに逃亡していた。だが1年8カ月後の6月7日夜、光弘はスマトラ島南部ランプン州の農村部にある民家に潜伏中、現地警察に身柄を確保された。光弘は抵抗する様子もなかったという。

2021年4月、外務省から旅券返納命令を出されて旅券は失効。光弘はインドネシアでは不法滞在状態だった。現地では「水産ビジネスの投資家」を名乗って、新事業の機会をうかがっていた。
また谷口夫婦は、光弘がインドネシアに逃亡後の2022年1月に離婚している。

谷口光弘、移送中の機内で逮捕

持続化給付金9.6億円詐欺/成田空港に到着した谷口光弘
成田空港に到着した谷口光弘容疑者

そして6月22日午後2時54分、日本に移送中(飛行機が日本の領空内に入ったところで)、光弘は詐欺容疑逮捕された。移送中の機内では毛布を肩までかぶり、周囲を気にするそぶりをしていたという。

その後、午後4時35分に成田空港に着陸。 今後、警視庁は身柄を東京都内に移し、詐欺事件の全容解明を進める方針である。

名義貸しの申請者も罪に?

また、セミナー参加者などの実際の申請者も、申請資格がない人の場合は今後罪に問われる可能性が高い。ただ、名義を貸した人が起訴された例は今のところあまりないという。調査前であれば自主返還することで罪には問われず、加算金・延滞金の義務もない。(2022年6月9日時点)。
ただし、支給された最大100万円は返済の義務が生じることになる。

不正受給及び自主返還について|経済産業省

コロナ給付金コールセンター

谷口光弘の生い立ち

給付金詐欺・谷口光弘の学生時代
学生時代の谷口光弘

谷口光弘は三重県松阪市の生まれ。会社員の父親と、大型スーパーの寝具売り場でパート勤務する母親の次男として育った。

小学校の同級生は「活発で、スラッとした体格で、足がものすごく速かった。小学校の運動会ではいつもトップを走っていた」と話す。

中学時代は陸上部で鳴らし、勉強もできる優等生、成績のよさを買われ生徒会役員も務めた。文武両道で知られる県内の有名私立高校に進学後は、早稲田大学を目指した。ところが、「合格確実」と言われながらも受験に失敗。大きな挫折を味わい、ここが人生の転機になる。

その後は市内の学習塾で講師をしながら生計を立てたが、「東京へ行って、ホストになって稼ぎたい」と言い出す。驚いた塾長が、松坂市内にある当時最先端の大型ブリテッシュパブ「アップルパパ」のマスターに頼み、「東京に行く前の修行」として働くことに。

頭のいい光弘は仕事の覚えも早く、会話も上手だったことから店でも評判が良かったという。2年ほどの修行の後、20代前半でカウンターだけのバー「サンタムール」を地元にオープン。20代のうちに市内にバーをもう1軒、さらに洋風居酒屋の経営など事業を拡大していく。

持続化給付金9.6億円詐欺/谷口光弘の豪邸
かつては高級外車も停まっていた

飲食店オーナーを本業としながらも、宅地建物取引主任者の資格を一発合格させ、不動産業にも進出。こうして不動産業に進出すると、グルメや美容をテーマにした女性向けローカル情報誌も発行するなど、精力的に事業を拡大した。

そして歯科衛生士だった梨恵結婚。3男3女の父親となり、中古ながら三重県津市久居野村町に露天風呂付の大邸宅を購入する。(2022年1月に離婚)

再起をかけたインドネシアの油田開発

インドネシアでの谷口光弘

だが2011年、順調だった光弘の実業家人生は暗転していく。光弘は、住宅ローン融資を巡る詐欺事件を起こして三重県警に逮捕される。自身が手がける不動産の住宅ローン虚偽申請で約3100万円を騙し取ったのだ。

しかし挽回するように、光弘は山にソーラーパネルを設置して売りさばく「太陽光発電ビジネス」に参入して莫大な利益を上げる。その頃は、赤いフェラーリなど車を複数台所有していた。だが今度は国税が入り、追徴金で資産をほとんど持っていかれ、フェラーリも手放さざるを得なくなる。

その後、都内港区六本木に不動産投資系の会社を設立。仮想通貨に手を出したり、韓国で飲食店経営に乗り出すなどしたが、いずれも成功を収めることができなかった。そして2016年以降、再起を懸けて没入していったのが、インドネシアの油田開発だった。

だがこれもうまくはいかず、2019年11月には自宅など所有不動産が一時差し押さえとなっている。

彼と関わった男性は「儲け話が好きで、すぐ突っ込もうとするタイプだが、ビジネスの知識はあまりないように感じた」と話している。

給付金詐欺も関わる人数が増え、規模が大きくなるとトラブルが続出するようになる。詐欺だと気付いた者や金が入らない者が騒ぎ出すと、光弘は「海外で事業を当てて、まとまった金を作る」と言い残し、逃げるようにいなくなった。その後、2022年1月に谷口夫婦は離婚した。

そして国外逃亡から1年8カ月。インドネシアのスマトラ島ランプン州の農村部で、現地の警察に入管法違反の疑いで逮捕された。現地では魚の養殖事業(ナマズ、グラメなど)を始めようとしていたという。
光弘を自宅に泊めていた男性は「彼は魚の稚魚に投資したいと考えていて、すでに私の池に約80万匹の稚魚を飼っていた」と話している。

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