新橋ストーカー殺人事件|耳かき嬢にマジ惚れした中年男の狂気

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新橋ストーカー殺人事件日本の凶悪事件

新橋ストーカー殺人事件

「耳かき店」のNo.1耳かき嬢に入れ込み、週に3回も通うほどになった林貢二。月に数十万円も使う上客になった彼は、耳かき嬢に本気で惚れていた。1年を過ぎると真剣に交際を考えるようになったが、店側からすればただの客。彼は耳かき嬢に付きまとうようになり、店から出入り禁止にされる。
耳かき嬢に完全に拒絶されたことに腹を立てた林は、彼女を殺すことを決意。2009年8月3日朝、家に侵入した林は、耳かき嬢とその祖母を殺害して逮捕された。
いわゆる「性風俗」ではないのに、高収入の「ライト風俗」。その危険性の高さを、再認識させられる事件だった。

事件データ

犯人林貢二(当時42歳)
事件種別ストーカー殺人事件
発生日2009年8月3日
場所東京都港区西新橋1丁目
被害者数死亡2人
判決無期懲役
動機 交際を断られた腹いせ
キーワード ストーカー

新橋ストーカー殺人事件の経緯

新橋ストーカー殺人事件

江尻美保さん(当時19歳)は東京都千代田区・秋葉原にある耳かき専門店「山本耳かき店」で働く、いわゆる耳かき嬢だった。美保さん(源氏名・まりな)は店で一番の人気嬢で、多い時は1ヶ月に65万円の収入を得ていたという。

仕事内容は文字通り「料金を払うと、女性が耳かきをしてくれる」というサービス業で、それ以上の性的な行為は一切禁止の ”表向き” 健全な商売だった。からだを触ることもできなかった。

しかし、耳かき嬢の ”女の魅力” で売っているような商売であることは間違いなく、男客の方からすれば勘違いする要素があったことは否めなかった。

秋葉原 裏の歩き方
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林貢二(当時42歳)は2008年2月頃、インターネットでこのサービスの存在を知り来店した。この時、接客したのが美保さん。林は美保さんのことを気に入り、美保さんを指名予約するようになる。

林は5月頃からは2~3時間延長するようになり、8月頃には金曜・土曜・日曜の週3日間通いつめ、日曜日などは店に7時間も滞在することもあり、その日だけで4万600円も支払ったという。彼はいつしかひと月に何十万円も支払う上客になっていた。

山本耳かき店料金(当時)

【料金】30分:2700円 1時間:4800円
【指名料】1時間:1000円

客以上の存在と勘違い

被害者・江尻美保さん(まりな)

耳かき店」でありながら、林が耳かきをしてもらったのは最初の数回だけ。当然、膝枕もしてもらえなくなった。林は美保さんの話を聞いたり、お菓子を食べながらDVDを見たり、ゲームをするなどして滞在時間を過ごした。

林はケンタッキーやコンビニの菓子や弁当など、美保さんに頼まれたものを買って持ち込み、2人で食べた。 違うものを買って、文句をいわれたことも何度かある。きつく指摘されると、林は涙ぐんだという。

週に3日もこんなことをしていると、女性慣れしてない林は美保さんに対し 、”店員と客” 以上の関係になったような錯覚をする。まるで交際しているかのような勘違いを起こしたのだ。

美保さんのほうは、そのことをうまく商売に利用していった。林は何度も「来てほしい」といわれ、1日に何時間もいることも気にすると「全然イヤじゃない」といわれてホッとした。

口ゲンカになって予約をせずに帰った時などは、美保さんからメールが来た。 「さっきはごめん、次の予約は?」これだけで林は機嫌を直して予約を入れた。

誕生日のできごと

美保さんは7月15日が誕生日で、林はプレゼントをいつ持ってくればいいか尋ねた。美保さんは「当日がいい」というので林は有給を取り、東京駅でプレゼントやゼリーなどを買って昼前に秋葉原に着いた。

すると偶然、美保さんと駅のホームで出くわす。美保さんに「早いですね」と話しかけられ「早いかな」と林は答えた。美保さんに少し遅れて店に入ると、「待ち伏せされてた」と店の人に話す美保さんの声が聞こえたので、林は気持ちが沈んでそのまま帰った。

ところが5日後、美保さんのブログ見ると、「突然だけど元気かなあ、ピヨ吉」と書いてある。 ピヨ吉というのは、美保さんが大事にしている ”ひよこ” のぬいぐるみ。以前そのぬいぐるみの写メを見せられた時、ふたりで付けた名前だった。

林は「イヤがられてなかった」と思い、気を良くして翌日の予約を入れた。そして、誕生日は「待ち伏せしたのではない」ことを説明し、わかってもらった。

要求がエスカレート

山本耳かき店・秋葉原総本店

2008年の年末12月27日から年明け1月4日まで、林はなんと9日間連続で来店した。林は性的なことは要求しなかったが、「手を握ってほしい」「店の外で食事しよう」などと、だんだんと要求がエスカレートしていく。

店に通うようになって1年が過ぎると、林の勘違いは度を増して「自分と美保さんは特別な関係」と考えるようになっていった。そうなると当然、”普通の恋人同士のように” 会うことを望むようになる。
美保さんは「店の外で会うのはルールで禁止されている」と適当にかわしていたが、林はしつこかった。

耳かき店は系列店が新宿にもあり、人気のあった美保さんはヘルプで呼ばれることがあった。林は新宿店にも予約を入れ、秋葉原店から新宿店まで一緒に移動しようと言うこともあった。

このころにはもう、適当にあしらうことが難しくなっていた

林は出入り禁止に

美保さんが営業熱心すぎたせいもあったが、林の入れ込みようは常軌を逸してきた。自分では対処しきれなくなった美保さんは店長に相談、結果的に林を出入り禁止にすることが決まった。

「付き合ってくれないなら、もう来ない」という林に、美保さんは「そういうつもりなら、もう来ないでください」と返した。

店で会えなくなった林は、美保さんを待ち伏せするようになる。怖くなった美保さんは、系列店の店長に家まで送ってもらうようになった。3か月もすると、林の気配が感じられなくなったので、見送りは辞退してひとりで帰るようになった。

悪質ストーカー化する

新橋ストーカー殺人事件/江尻美保さん自宅
当時の美保さんの自宅(現在はマンションが建っている)

しかし、林はあきらめたわけではなかった。美保さんが ”護衛を兼ねた見送り” を辞退してすぐの7月19日、林は再び美保さんの前に姿を現したのだ。美保さんは逃げて警察に通報した。

美保さんは「客の男がしつこく言い寄り、断ったら付きまとわれた」と警察官に説明。警察官が周囲を探したが不審者はいなかった。美保さんはこの件では被害届は出さず、これ以降、相談もなかったことから、警察ではこれ以上の捜査はしなかった。

翌日、林が美保さんにメールを送ったが、アドレスが変えられたのか、「送信できませんでした」という通知が届いた。

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このころ林は、美保さんの自宅を突き止めていたようだった。
8月1日(事件の2日前)午後11時半頃、帰りの遅い美保さんを心配した母親が通りに出ると、50mほど離れた場所に白っぽいシャツを着て、カバンを斜めにかけた男がいた。自転車で近づくと、その男はいなくなった。
美保さんに電話すると「カバンを斜めがけしているのなら、そう(林)かもしれない」と答えたという。

愛情は殺意へ・・・

新橋ストーカー殺人事件
被害者の江尻美保さんと祖母の鈴木芳江さん

美保さんから拒絶され続けた結果、林の中で美保さんに対する愛情は憎悪に、そして殺意に変わっていく。

2009年8月3日の早朝、林は凶器をバッグに入れて美保さんの家に向かった。到着したのは朝8時過ぎ。父親はすでに家を出ていたが、母親・兄、美保さんはまだ眠っていた。家の中で起きているのは、祖母の鈴木芳江さん(78歳)だけだった。この時、玄関の鍵は開いていた

林は家に侵入した。そして1階にいた祖母に「美保さんに会わせろ」と言ったが口論となる。林は祖母を殴打し、さらにナイフで刺した。祖母は即死だった。
その後2階に上がり、標的である美保さんを包丁で複数回刺した

騒ぎに気付いて起きた母親が部屋の外に出ると、廊下に血まみれの林が立っていた。驚いて転んだが、あわてて階段を降りると、祖母が倒れていて母親はパニックになる。彼女はそのまま外に出て大声で近所に助けを求めた。

林は現行犯逮捕

新橋ストーカー殺人・事件直後の現場
事件直後の現場(路地を少し入った右手が自宅)

近隣の通報により警察が駆け付け、林は逮捕された。彼は逃げずに家に留まっていたのだ。
美保さんはまだ息があり、病院に搬送されたが意識不明の重体。母親と兄は被害を免れた。

警視庁愛宕署の調べに対し林は、「事件の約2週間前、美保さんに直接会って関係の修復を求めたが拒否された」「交際を断られ、腹が立ったので殺そうと思った」などと供述した。

8月24日、林貢二は祖母に対する殺人および殺人未遂の容疑で東京地検によって起訴された。その後、9月7日に美保さんの死亡が確認され、起訴内容は2人の殺人容疑に変更された。

裁判で無期懲役

新橋ストーカー殺人事件
事件を伝える新聞記事

公判に先だって実施した精神鑑定の結果は、「林被告には完全責任能力がある」だった。

2010年10月19日、東京地裁で、林貢二被告の初公判が開かれた。林被告側は、起訴内容や責任能力について認めていたため、量刑の判断材料は情状面に絞られた。

検察側は、林被告の「身勝手で一方的な性格」や、「強い殺意」を持っていたことを主張した。
弁護側は、林被告が反省し、被害者遺族からの損害賠償請求の申し出に応じる意思を示していること、耳かき店の中での林被告と美保さんの関係が良好であったことを述べた。

10月25日、論告求刑公判が開かれ、検察側は林被告に死刑を求刑。弁護側は死刑回避を訴え、林被告は被害者2人に対する謝罪を述べた。

求刑は死刑だった

11月1日に判決公判が開かれ、裁判長は林被告に無期懲役を言い渡した。
判決理由では、林被告の身勝手さを認定するものの、祖母の殺害に計画性は認めなかった。また、林被告の反省態度も一部認定し、求刑された死刑ではなく、無期懲役刑に処することとなった。

弁護側は、控訴しない意思を表明。被害者遺族は検察に控訴を望んだが、東京地検は控訴しない方針を発表。11月月15日付で無期懲役が確定した。

裁判員裁判で、初の死刑求刑だったが無期懲役が確定した。
裁判員裁判で初の死刑確定は、横浜港バラバラ殺人事件池田容之に対してである。

犯人・林貢二の生い立ち

新橋ストーカー殺人事件/林貢二

林貢二は、1968年に千葉県千葉市で生まれた。家族構成は、両親と兄の4人。
小中学校のころの成績はあまり良くなかったが、高校に入るとさらに下がったという。

電気系専門学校を卒業後、配電設備会社に就職して20年同じ職場に勤めていた。上司によると、「黙々と仕事をこなし、人の嫌がる現場でも進んで仕事をしてくれる、まじめな人という印象」と話している。肩書は設計主任だった。

事件を起こした8月3日は、上司に休暇を申請していた。

酒は飲めず、飲み会ではひとり静かにウーロン茶を飲んでいた。趣味は特になく、強いていえば本を読むのが好きだったそうだ。

女性に耐性がなかった?

26歳のころ膠原病を発症しており、再発の恐れがあるため、結婚は考えなかった。また、女性との交際経験もなかった

父親がわがままな人で、28歳の時に家を追い出されたという。それからは千葉市の団地で、事件までひとり暮らしをしていた。母親によると、林は実家には年に2回ほど帰っていたそうで、元旦には、たいてい午前中に来て夕食を食べて帰ったという。

「耳かき店」には1年半で200万円ほど使っていた。そのため20年働いて貯めた1000万円を切り崩して生活していた。

事件を起こしたのは2009年8月3日。耳かき店店員の江尻美保さんとその祖母を殺害して無期懲役となり、現在は服役中である。事件後に母親が面会に行っても、最初のころは泣いてばかりで話ができる状態ではなかったそうだ。

林の身長は169cm、体重は事件当時63kgあったが、裁判中は46kgまで減っていた。

被害者・江尻美保さんについて

新橋ストーカー殺人事件被害者・まりな(江尻美保さん)
江尻美保さん(源氏名・まりな)

江尻美保さんは高校卒業後、浅草の和菓子屋さんで働いたが、腰を痛めて退職。その後、「山本耳かき店・秋葉原総本店」で働き始めた。

  • 生年月日:1988年7月15日
  • 血液型:B型
  • 学歴:高卒
  • 身長:154.8cm
  • 家族構成:父・母・兄・祖母(事件で死亡)
  • 自宅:東京都港区西新橋1丁目

父親によると、高校のときファミリーレストランでバイトした経験から、接客業が好きになったとのこと。父の日と誕生日には、部屋に入ってきて「おめでとう」といいながら酒をプレゼントしてくれたという。

その頃、美保さんは「家を買いたい」という夢を持っていた。同居していた祖父は怒鳴ることの多い人で、「自分たちだけの家」で平穏に暮らしたいという家族思いの夢だった。
携帯の待ち受け画面には家族写真、ブログの「あなたの宝物は?」という項目には ”家族” と書くほど家族が好きだった。

高額バイトはリスクも高い

江尻美保さんは、2009年1月28日放送のテレビ番組「ありえへん∞世界」に出演していた。
彼女が出演したのは「ありえへん高額バイト」というコーナーで、その時に公開した月収は68万円だった。

耳かき嬢」という仕事は、いわゆる性風俗ではありません。美保さんの働いていた店も濃厚な行為は禁止、触ることさえもNGだったそうです。

一見安心な気がしますが、それでも特別な技術なしで月60万円を超える収入は普通ではありません。やはり耳かき嬢の女性としての魅力で売っているというのが実情で、料金もバカ高いです。こういう職業は、「ライト風俗」というジャンルに入るそうです。

 

耳かきと軽いマッサージぐらいはするようですが、メインは指名した女性と部屋でくつろぐことらしいです。このような「個室で魅力的な女性からサービスを受ける高額サービス」である以上、中には林貢二のように”それ以上”を期待する男は一定数いると思います。そしてその期待を本気で実現しようとすれば、本事件のような危険も出てきます。

 

もし耳かきをしてくれる人が若い女性でなければ、おそらくこの商売は成り立たないでしょう。そのことからも、サービスを提供する側も油断してはいけないと思います。

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