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銀座資産家夫婦強盗殺人事件|第三者の犯行と主張!闇社会の犠牲に?

銀座資産家夫婦殺害事件 日本の凶悪事件

銀座資産家夫婦強盗殺人事件

2012年12月7日、スイスから一時帰国していた資産家夫婦が、銀座のマンションを出たあと失踪した。
1か月後、親しくしていた渡邉剛(当時43歳)が容疑者として浮上する。渡邉は夫婦のクレジットカードを使い、東京駅で新幹線の回数券約300万円分を購入しようとしたほか、夫婦の財布を質店で金に換えていた。捜査の結果、渡邉が事前に購入していた埼玉県久喜市の土地から夫婦の遺体を発見。渡邉は逃亡先の宮古島で逮捕となった。
裁判では「殺害は第三者の犯行」と主張して無罪を訴えたが、下った判決は死刑だった。

事件データ

犯人渡邉剛(当時43歳)
事件種別強盗殺人事件
発生日2012年12月7日
犯行場所東京都、埼玉県
被害者数2人死亡
判決死刑:東京拘置所に収監中
動機金銭
キーワード資産家

事件の経緯

銀座資産家夫婦強盗殺人事件
霜見誠さんと美重さん夫婦

霜見誠さん(51歳)と美重さん(48歳)はスイスに住む資産家夫婦だった。
元証券マンの霜見さんは、約20年前に退社。その後は国内外でファンドマネージャーとして働き、当時はリヒテンシュタインに本社がある投資ファンドのマネジャーをしていた。自宅はスイスにあったが、都内や海外に複数のマンションを保有する資産家だった。

夫婦は2012年11月下旬に一時帰国していて、12月7日に栃木県日光市で催されるパーティーに誘われていた。誘ったのは水産物流通会社社長・渡邉剛(当時43歳)。それは「ペットも泊まれるホテルの開業イベント」というもので、パーティーには有名な男性歌手も出演するという。また、渡邉からは「投資の相談もしたい」と言われていた。

遺体は久喜市に

銀座資産家夫婦強盗殺人事件
青テントの下に遺体は埋められていた

しかし、これは真っ赤な嘘。渡邉は嘘のパーティー話で夫婦を誘い出し、殺して金を奪う計画だった。

そうとは知らない夫婦は、東京・銀座のマンションを出て渡邉の用意したワゴン車に乗り込んだ。そして車の中で用意されていた睡眠薬入りのシャンパンを飲み、眠ってしまう。渡邉は2人の首をロープで絞めて殺害。クレジットカード入りの財布など計8点、29万円相当を奪った。

死刑囚200人 最後の言葉

渡邉は、車を埼玉県久喜市に走らせた。彼は先月11月10日、久喜市佐間に「畑を作る」といって125万円で農地を購入していて、そこに2人を埋めるつもりだった。土地には重機を使用して男数人で穴を掘り、高い囲いをして周りから見えないようにしていた。さらに穴を掘ったことがわからないように、青いビニールシートで覆っていた。

渡邉はこの穴に2人の遺体を埋め、車は付近に放置したままその場を離れた。

渡邉の名前が浮上

銀座資産家夫婦強盗殺人・渡邉剛事件

霜見夫婦は12月14日にスイスに戻る予定で、航空券も購入していた。ところが夫婦は航空券を自宅に残したまま連絡がつかなくなり、不審に思った親族が警察に捜索願を提出した。

渡邉は元部下の桑原隆明(当時41歳)と、東京駅で霜見さんのクレジットカードを使って新幹線の回数券を300万円分購入しようとしたが、身分確認を求められて断念していた。その際、防犯カメラにはマスクをした怪しい男が写っていたことから、警察は夫婦の失踪が「事件」であるとの確信を得ることができた。

夫婦は、「日光のホテルの開業イベント」に誘われたことや、「(投資の)いい顧客になりそうだ」など、渡邉のことを周囲に話していた。また、渡邉は霜見さんの親族に対して「警察に捜索願は出したか」など、何度も捜査状況を確認するような電話をしていた。

これらのことから、重要参考人として渡邉の名前が浮上するのは当然の流れだった。

霜見さんは失踪前日、スイスの口座から国内の預金口座に700万円を移し、そのうち500万円を下ろして銀座のマンションに置いていた。捜査本部は渡邉が預金を奪おうと殺害を計画した可能性もあるとみていた。

宮古島で逮捕

銀座資産家夫婦強盗殺人事件・相関図

渡邉は捜査の手がおよんできたことを察知して、1月中旬頃から宮古島に逃亡していた。一方、警察は知人らの話からマンション近くで夫婦が乗ったとみられる車を割り出し、走行記録などから車の位置を特定。そして、久喜市の土地に辿り着く

失踪から約1か月後の2013年1月28日、警察は久喜市の土地に霜見夫婦の遺体が埋められているのを発見した。夫婦は銀座のマンションを出た時の服装だったため、マンションを出てまもなく殺害されたとみられた。

日本の確定死刑囚 執行の時を待つ107人の犯行プロフィール

そんな時、宮古島に潜伏している渡邉が「霜見さんのクレジットカードを使った」という情報が警察に舞い込んできた。沖縄県警が宮古島を捜索したところ、1月29日午後4時頃、渡邉が洗剤を飲んで自殺を図ったことが判明する。

この日、ともに逃亡中だった元部下の桑原が死体遺棄容疑で逮捕されたことを知り、死のうとしたようだった。彼は宮古署員に発見され、病院に搬送されたが命に別条はなく、1月30日、回復を待って逮捕となった。

5月24日、東京地検は渡邉を強盗殺人と死体遺棄容疑で起訴した。

元部下・桑原隆明は、殺害に関与した事実はないとされ、詐欺未遂罪のみでの起訴となった。

犯人・渡邉剛について

銀座資産家夫婦強盗殺人・渡邉剛事件
渡邉剛(つよし)

渡邉剛は20代前半から、神奈川・逗子のリゾートレストランで調理を担当したり、山口県下関市のふぐ仲卸業者の下でふぐの取り扱いを学んだりするなど、飲食関係の職を転々としていた。

1990年代後半には水産加工物販売会社で働くようになり、2001年に社長に就任。当初、渡邉の会社「日鯨商事」は、鯨肉をスーパーなどに卸す業務が中心だったが、2007年頃からはインターネットを活用して海外に進出。オマーンの複数の大手水産会社から魚介類を輸入するようになった。

社員には「いつかは、中東での日本向け水産加工物を独占的に扱い、自社の漁船も持ちたい」と夢を語っていた。 元社員の男性(50歳)は「押しが強く、中東の企業を相手に一歩も引かないやり手の実業家という印象だった」と振り返る。

関係者によると、渡邉の性格は行き当たりばったり。会社創業のきっかけも、飲み屋で「鯨や高級魚が儲かりそうだ」と話していたら、たまたま居合わせた人が「親類が宮城県で鯨関係をやっている」と言ったので、すぐ宮城まで行って話をつけて創業したという。

社長時代の渡邉は高級外車を乗り回し、「年収は3億円以上」と豪語していた。ところが、2008年後半から2009年春頃にかけて資金繰りが急速に悪化。2009年夏以降、会社は休眠状態に陥っていた。

2011年春頃、霜見さんと知り合う。霜見さんの薦めで購入した株で180万円の損益を出し、恨みを持っていた。
そして、2012年12月7日、霜見夫婦を殺害。2013年1月30日に宮古島で逮捕された。
裁判では2018年12月21日、最高裁で死刑が確定する。渡邉剛死刑囚は現在、東京拘置所にて収監中である。

死刑囚の最期~葬られた心編

渡邉と霜見さんの接点

渡邉霜見さんは事件の前年2011年春頃、寿司店でたまたま知り合った仲だった。
霜見さんは周囲に「趣味の車を通じて意気投合した」と話していたそうだ。立ち寄った寿司店で偶然隣に座り、お互い車が好きという共通点があって盛り上がった。それから飲み友達になり、一緒にゴルフに行くこともあったという。
霜見さんは高級外車2台を所有していた。 

なぜ殺害を実行した?

銀座資産家夫婦強盗殺人事件

渡邉は2011年7月頃から、宮古島で地元女性と一緒に暮らし、東京と行き来しながら釣り三昧の生活をしていた。それが、なぜ2012年9月に急に殺人の準備を始めたのか、捜査員も困惑しているという。

また、これだけ大がかりな殺人事件を起こしたわりに、手に入れたのは夫婦の財布を質に入れた代金のみ。架空のパーティーにしても、「かなり精巧な、本物と見紛まがうパンフレットまで用意されていたらしい」と霜見さんの知人は話す。

個人の怨恨による犯行にしては手が込んでますね。

動機は180万円の損失?

裁判では殺害の動機として「霜見さんに薦められて購入した宝飾品販売会社の株で、渡邉は180万円の損失を被り、恨みや妬みがあった」とされている。

180万円の損失に対して、殺害のために準備した土地や車は約200万円。普通の感覚ではちょっとあり得ないと思います。

ところが当初、取り調べでは別の巨額の損失について話したという。
それは「霜見さんが2008年頃に手がけた食品企業の買収に絡む投資に渡邉が参加。この企業買収は失敗に終わり、渡邉は数億円の損をして、会社が傾いた」というもの。
しかし、捜査ではこの話の裏が取れなかったという。

この数億円の損失のほうなら動機としては納得できますね。でも裁判では、あくまで動機は「180万円の損益の恨み」です。

 

当時43歳の渡邉にとって、180万円はそこまで苦労せずに挽回できる金額のような気がします。そのために人を殺すというのは、よほど霜見さん自身に対して「憎しみ」を持っていたということでしょうか??何か腑に落ちないことの多い事件ですね。

霜見誠さんについて

銀座資産家夫婦殺害事件・霜見誠

霜見誠さんは、新日本証券で勤務したのち、独立してファンドマネージャーとして働いていた。
社員時代は真面目にやっていたが、独立してからは危ない運用を手がけるようになっていたそうだ。

1990年代末、霜見さんにとって大きな分岐点が訪れる。彼は仕手筋によく狙われることで有名な「宝飾品会社」の株で大きく稼いだのだ。本人も「あれが人生を大きく変えた」と周囲に話していたという。

霜見誠さんの黒い噂

銀座資産家夫婦殺害事件・霜見誠


人生を変えた大儲けには、仕手筋の大物N氏(故人)が絡んでいたともいわれている。それ以来、業界の「大物」たちとの交流が生まれ、霜見さんはいわくつきの銘柄で稼いできた。

霜見さんの新日本証券時代の元同僚は、言葉を濁しながら「正直、彼は最も近寄りたくない人間のひとり。彼の周りには胡散臭い人間がたくさんいたから。自称ファンドマネジャー、本当は ”仕手株の解体屋”」と話している。

独立してからの霜見さんの周りには、そんな仕手株を扱うような輩が集っていたそうだ

「仕手株の解体屋」とは?

仕手株の「解体屋」とは、業績不振企業の株を保有する人間から依頼を受け、風説の流布まがいで株価を釣り上げ、株主の保有する株を市場で売り抜けさせる者たちのこと。

これだけは知っておきたい 仕手株投資入門

ところが2008年のリーマンショック以降、霜見さんは投資でかなりの損失を出したとみられ、トラブルを抱えていた。ファンドが暴落して顧客から猛烈なクレームがあったが、「投資の失敗は、出資者の自己責任」と、悪びれることなく話した。これが一部の反感を買い、日本を出国するときに空港で待ち伏せされ、もみ合いになったこともあったという。

渡邉も、そうした一人と見られている。

民事訴訟を起こされていた

霜見さんは、中東のドバイを舞台にした投資トラブルで、東京地裁に民事訴訟を起こされていた。この裁判に登場するのは、闇社会にも太い人脈を持つといわれる実業家のY氏(2009年1月に死去)と、その”愛人”と指摘される女性S氏である。

Y氏は自らが実質的なオーナーとなり、ドバイで不動産投資や株式投資を行うB社を経営していた。ところがY氏の死去と前後して、和歌山県に住む資産家男性からの5千万円の投資をめぐってトラブルとなり、S氏霜見氏が被告となって損害賠償請求を起こされているのである。

訴状で霜見氏は、「Yオーナーのマネーロンダリングに加担していた者である」と指摘されている。原告側関係者の男性が説明する。

「霜見氏はY氏の指示で、5千万円の一部を出資者の資産家男性無断で別の会社の口座に移すなどの操作を行っていた。顧客の資産家男性とトラブルになった後も、『自分は顧客であるY氏の指示に従っただけ』と、悪びれる様子もなかった。その一方で、Y氏にも株をすすめて、損をさせていたこともあったようです」。この裁判で、霜見氏は1月下旬に出廷する予定だったという。

Y氏をめぐる人間関係では、こんな証言も出てきた。「08年ごろ、Y氏がドバイに進出してくる日本人として『日鯨の渡辺』という名前を何度か口にしていた」(Y氏に近かった人物)。

※週刊朝日 2013年2月15日号

*日鯨・・・渡邉剛が経営していた会社

このキナ臭い話に、渡邉の名前が出てきます。渡邉は公判で一貫して「殺害は第三者がやった」と主張し続けました。
まさかとは思いますが、もし本当にこの闇社会に巻き込まれて罪を着せられ、真相を言えずにいるとしたら…怖いですね。怖すぎます。

裁判

裁判は、「裁判員裁判」にて行われた。
渡邉剛被告は逮捕されて以降、犯行は「自分ひとりでやった」と供述していた。

2014年8月19日の第一審初公判で、渡邉剛被告はなぜか強盗殺人に関して否認に転じている。
渡邉被告は「現場にいたが2人の首を絞めていない。殺意はなく、金品を取る目的もなかった」と主張、死体遺棄罪と詐欺未遂罪については認めた。

検察側は冒頭陳述で、渡邉被告は被害者・霜見誠さんの薦めで購入した株で約180万円の損失があり、霜見さんを恨んでいたと指摘。遺体を埋める穴を掘るなど準備をした上で「ホテルの開業イベントに招待」との嘘で夫婦を誘い出し、睡眠薬を混ぜたシャンパンを飲ませたうえで、殺害したと述べた。

弁護側は、渡邉被告が株取引に関して霜見さんに説明を求めようとして犯行の一部に関与したことは認めたが、「他の人と被害者の首にロープを巻いて脅すつもりだった。被告に殺意や金品を奪う目的もなく、強盗殺人罪は成立しない」と、実行行為は第三者によるもので、被告は傷害致死罪にとどまると主張した。

第三者については、渡邉被告が「投資資金を借りていた知人」の関係者だと説明したが、「詳細は明らかにできない」とした。

9月1日の公判で渡邉被告は「極刑を望んでいる」と述べ、被害者遺族に対し土下座して謝罪した。

9月4日の論告で検察側は、渡邉被告が被害者のクレジットカードの利用方法を事前にインターネットで調べた点などを挙げ、「強盗目的は明らかで、睡眠薬を使うなど確定的な殺意があった」と指摘した。

「脅すつもりで、殺意はなかった」「第三者が実行した」など、強盗殺人罪を否認する被告の主張は、「客観的な証拠と矛盾しており、公判で弁解を不自然に変遷させ、罪を免れることしか考えていない第三者の名前を明らかにしないのは不自然。渡邉被告が単独で、殺意を持って首を絞めたことは明らか」と批判した。

そして「取引で損をした恨みと、金を奪うという身勝手で短絡的な動機に酌量の余地はない。強い殺意に基づく計画的で残虐な犯行」と断じた。

同日の最終弁論で弁護側は、「株を巡ってトラブルになった被害者を脅すことが目的で、強盗や殺人の計画はなかった。渡邉被告にとって2人の死亡は想定外だった」として強盗殺人罪ではなく傷害致死罪にとどまると主張した。

渡邉被告は最終意見陳述で「自分の命で償います」などと述べた。

一審判決は死刑

判決で裁判長は、「殺害および死体の処分も予定した、高度に計画的な犯行で、悪質性、重大性は際だって高い」として求刑通り死刑を言い渡した

「第三者が殺害」との主張について
  • 真実味が乏しく、具体的な状況が浮かび上がらないなど、供述は到底信用できない
  • 「眠っている夫婦の首にロープをかけるのは、ひとりでも可能」と、単独犯での強盗殺人罪を認定
計画性について
  • 被害者のクレジットカードの利用方法を事前に調べていた
  • 犯行に使用した自動車や遺棄した土地を知人名義で購入し事前に穴を掘っている

など、全体として計画性は高いと指摘。殺意や財物を奪う目的は優に認定できると判断。

動機について

被害者に薦められた株で損失を被り、「恨みやねたみがあったとも考えられる」と指摘。ただし、「だまされた事実は認められず、量刑で酌むべき事情にはならない」

反省や謝罪の念

核心部分の供述を拒否したり、信用できない弁解をくり返すなど、ほとんど感じることができない

裁判長は判決の言い渡し後、渡邉被告に向かって「裁判官、裁判員一同の意見です」と切り出し、「命の重みを無視した身勝手さを顧みて、どのような機会にでも、被害者の遺族に事件の真実を伝えてほしい。遺族の心の痛手を埋めるにはそれしかない」と説諭した。

被告側は即日控訴した。

上訴審

控訴審も死刑

2015年11月20日、控訴審初公判が開かれた。
弁護側は、第一審同様「第三者の犯行」を主張し、改めて強盗殺人罪を否定した。

判決で裁判長は、一審の死刑判決を支持して控訴を棄却、「金品目当てに殺害に及んだ」と結論づけた。その理由として以下の点を指摘した。

  • 殺害のためのロープを用意
  • 夫婦を埋めた土地を事前に購入して穴を掘った
  • 殺害後、被害者のクレジットカードを使おうとした

そして「周到な準備を重ねた極めて計画性の高い強盗殺人で、落ち度のない2人の命を奪った結果は重大。死刑以外を選択する余地はない」と述べた。

上告審:最高裁で死刑確定

2018年12月3日の上告審弁論で、弁護側は量刑不当を訴えた。
2018年12月21日、裁判長は判決で一審・二審を指示して上告を棄却。これにより渡邉剛被告の死刑が確定した。

裁判長は、「周到に準備された計画的な犯行で、殺意も強固。落ち度のない被害者2人の命を奪った結果は重大」と述べた。

共謀して回数券をだまし取ろうとしたとして詐欺未遂罪に問われた元部下・桑原隆明は、2013年8月9日、東京地裁で求刑通り懲役2年(執行猶予4年)の有罪判決を受けて確定している。

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